16.別れ

現実の恋愛に本気になれないのは、 あくまでも私自身に原因があったのだと思います。 すなわち、それを本心では望んでいなかったということです。   望んでもいないものが現実化するわけはありません。 仮に願いがかなっ…

15.迷いの日々

まだ肌寒い、ある春の夕暮れ。 飲み会で出会った彼女と初めて食事をします。   この前会ったときと違い、 この日の彼女は物静かでした。 意外にも、客以外の男とプライベート出歩くのは 久しぶりのとのことでした。 &…

14.嵐を呼ぶ女

前回も書きましたが、 その人との出会いは全くの偶然でした。   ある春先の飲み会の二次会。 私は仕事関係の先輩たちと、あるキャバクラにいました。   私は幹事役を仰せつかっており、 飲み会の財布の紐を…

13.璃子

私の内なる女との不思議な関係は徐々に深まっていきました。 といっても、現実には決して彼女に出会うことはできません。 鏡の前で彼女に成りきり、彼女の心の声に耳を傾けることが、 彼女を感じる唯一の方法でした。   …

12.内なる女に魅せられて

そのときの女装は、今にして思うと、 それほどレベルが高いものではありませんでした。   アイメークも適当だったし、 口元もうっすら青いままでした。 それに、ワキの毛も処理していませんでした。   それ…

11.内なる女との出会い

前回、夢に出てきた女のことを書きましたが、 彼女が再び現れたのでした。   眠りの淵は冥府の入り口。 ある夜、私は夢とも現実ともいいがたいところに私は居ました。   彼女は、月の光に白い顔を照らされな…

10.甘美な夢

ある日の夜、不思議な夢を見ました。   私は真っ暗闇の中にいました。 でも、不思議と恐怖感はありません。   何か暖かくて柔らかい粘膜のようなものに包まれている感じ。 例えて言うなら、母の子宮の優しい…

9.なぜ愛する人を求める?

この頃の私の心境は複雑でした。 上手くいかない婚活を辞めてしまおうかと思う一方、 誰かがなんとなく恋しい。そんな日々でした。   愛に対する諦めと渇望の間で揺れ動いていました。   その当時の様子を次…

8.自分の最愛の人は自分自身?

ある春の日、私は数か月前にテレビドラマで見たワンシーンを 思い出していました。   そのシーンは『下町ロケット』の何気ないある場面です。 町工場の経営者である主人公佃(阿部寛)が人工心臓弁の開発で 苦戦していた…

7.だれかに寄り添いたくて

前置きが長くなってしまいましたが、 この話はここからが本題です。   私はいつの間にか最愛のパートナーを求めていました。 前のお付き合いで「自分は結婚する資格がない」と思っていましたが、 かといって、両親の「孫…