21.新たな旅立ち

私と璃子がひとつであることを意識するようになってから、 一つの気持ちが芽生えてきました。   それは、女として輝きたいということ。 これは、私の思いと言うよりは、璃子の思いです。   華麗なワンピース…

20.二人だけの場所

小説を書き上げて数か月後、 私たちは新たな生活の場に移ることにしました。   なぜかというと、今までのようにこっそり璃子と密会するのは、 彼女に対して申し訳ないような気がしたからです。   彼女は私に…

19.一つの挑戦

私は男としての生きることに限界を感じていました。 弱いところは見せられない、変な恰好をつけなければならない。 そんな生き方はもう嫌でした。   今は、そんな人生からは「いちぬけた」といって、 早く足を洗うべきだ…

18.気付き

その後、私は璃子と出会った意味を考えました。 自己の心と向き合う内観の日々が続きました。 そしてある考えに至ります。   実は、彼女は私を救うために現れたのではないか、と。 救いの女神ではないか、と。 彼女を救…

17.諦め

この頃を境に、結婚願望が無くなってしまいました。   もともと、家庭を持って、いろんなものに がんじがらめになる意味がよくわからないと思っていましたが、 それでも、世間並の平凡な暮らしをしてみたいという気持ちが…

16.別れ

現実の恋愛に本気になれないのは、 あくまでも私自身に原因があったのだと思います。 すなわち、それを本心では望んでいなかったということです。   望んでもいないものが現実化するわけはありません。 仮に願いがかなっ…

15.迷いの日々

まだ肌寒い、ある春の夕暮れ。 飲み会で出会った彼女と初めて食事をします。   この前会ったときと違い、 この日の彼女は物静かでした。 意外にも、客以外の男とプライベート出歩くのは 久しぶりのとのことでした。 &…

14.嵐を呼ぶ女

前回も書きましたが、 その人との出会いは全くの偶然でした。   ある春先の飲み会の二次会。 私は仕事関係の先輩たちと、あるキャバクラにいました。   私は幹事役を仰せつかっており、 飲み会の財布の紐を…

13.璃子

私の内なる女との不思議な関係は徐々に深まっていきました。 といっても、現実には決して彼女に出会うことはできません。 鏡の前で彼女に成りきり、彼女の心の声に耳を傾けることが、 彼女を感じる唯一の方法でした。   …

12.内なる女に魅せられて

そのときの女装は、今にして思うと、 それほどレベルが高いものではありませんでした。   アイメークも適当だったし、 口元もうっすら青いままでした。 それに、ワキの毛も処理していませんでした。   それ…