19.一つの挑戦

私は男としての生きることに限界を感じていました。

弱いところは見せられない、変な恰好をつけなければならない。

そんな生き方はもう嫌でした。

 

今は、そんな人生からは「いちぬけた」といって、

早く足を洗うべきだと思っています。

そう思えるようになって心が随分軽くなりました。

これは璃子のおかげ。

彼女を取り戻したことで、私の心は救われつつありました。

 

そして、ある思いが湧き上がってきました。

彼女を取り戻す日々のことを物語にしてみたい。

自分自身が「女神」へと覚醒した道のりを表現してみたい。

 

そこで、以前からの夢であった、小説の執筆を始めました。

 

この小説は誰かに見せることは予定していませんでした。

しいて言えば、未来の自分自身が読者かなと思っていました。

随分自由奔放に書いていました。

 

時には、仕事が忙しくて書けない日々が続きました。

それでも、一日10分でも20分でも作品に向き合いました。

 

そして、約10か月を費やして、その小説は完成しました。

結果的に12万字ほどの長編作品になっていました。

いずれ機会がありましたら、公開するかもしれません。

 

職業的に文芸作品を書いたわけではありませんが、

今振り返ると、苦しくも、楽しく充実した日々でした。

 

作品を描いていると、

私が作り上げた登場人物たちが、自らの意思で

活き活きと動き回るような感覚がありました。

 

物語の世界は、まぎれもなく、私が創りだしたもの。

世界を創造するとはこういうことかと思いました。

 

そして、現実世界が、物語となんとなくシンクロしているような

気がしていました。

 

村上春樹の『1Q84』で

小説に書いたことが現実化するという話がありました。

それは、あながちない話ではないと思います。

 

ある日、私は一つのアイデアを思いつきます。

「自分の思い描く理想を物語にすれば、

もしかしたら、実現するのではないか?」と。

 

私は、ただちに物語の構成を変えて、

私の夢が詰まったシーンを物語に挿入しました。

 

スピリチュアルや潜在意識の世界では、

「どうなりたいか」や「何がほしいか」を

「決める」ことが重要だと言います。

私が作品づくりでしたことは、

この「決める」ことにあたるのではないかと思います。

 

今のところ、私が描いた理想は

まだ、現実化していません。

でも、いつか実現することを

楽しみに待っています。

クロスドレッサー、自己探求家。 趣味で小説も書いています。 最近は、仏教と現代物理学の関連について研究しています。

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