3.女の光と影

前回は私の母親についてお話しましたが、

今回は親戚の女性について語りたいと思います。

 

私には9つ上の女のいとこがいました。

初めて会ったのが、9歳の夏でした。

 

私は、小学3年生の夏休みを

東京の伯母の家で過ごすことになり、

その伯母の娘である彼女と出会ったのでした。

 

彼女は高校を卒業したての、ポニーテールのよく似合う

美しい女の子でした。

彼女はまさに華やかさの真ん中に生きているかのようでした。

私はそのときの彼女の太陽のような笑顔の前では、

気恥ずかしくて、まともに話ができなかったのを覚えています。

 

彼女は、私のことを本当の弟のように

可愛がってくれました。

彼女は私をディスニーランドや

サンシャイン水族館に連れて行ってくれました。

 

私は長男でしたので、兄や姉はいないのですが、

まるで、本当の姉と出会ったようで、

とてもうれしかったのを覚えています。

 

また、彼女は美しいものの二面性を教えてくれました。

 

あるとき、いつも明るかった彼女が、

部屋の片隅で隠れるように泣いていました。

私は彼女のいつもは見せない表情に驚きました。

そして、大変なことになったと思い、

伯母にそのことを話してしまいました。

 

「○○ちゃんのバカ!」

後で、彼女はすごい剣幕で私を叱りつけました。

そのときはなぜ怒られたのか分りませんでしたが、

成長した後に、親にも話せないような

何か悲痛なことがあったのだろうと悟りました。

 

彼女の太陽のような笑顔と、悲しみに暮れた表情との

大きなギャップが今でも忘れることができません。

 

明るい光のもとに表裏をなすようにできる濃い陰翳。

私は女性の輝かしさとともに、

その裏にある陰の部分を見たような気がしました。

 

彼女は私にそのような人生の両義性を

教えてくれたような気がします。

 

ちなみに、彼女はその後、

ミステリアスで魅力的な女性へと成長してゆきます。

私はそんな彼女に単なる親戚以上の感情を持っていました。

 

ここでは本題からそれるので、詳しくは触れませんが、

機会があれば、また、別のところで、

お話してみたいと思います。

クロスドレッサー、自己探求家。 趣味で小説も書いています。 最近は、仏教と現代物理学の関連について研究しています。

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