見えない世界への誘い

「内なるパートナーを求めて」で、私がこれまでの人生で

大きな影響を受けた女性たちのことを書きましたが、

スピリチュアルな面で最も影響を与えたのは、私の祖母でした。

 

祖母は、大変信心深く、厳格な人でしたが、

彼女には霊感がありました。

 

子供のころに、目の不自由な行者だった曽祖父を連れて、

数々の霊場に行っている間に、

そういうものを感じるようになったと言っていました。

時々、「狐の霊が押し入れの中にいる!」などといって大騒ぎして、

お経を必死に唱えていたのを覚えています。

 

また、彼女はよく予知夢を見て、

家族の身に起こる幸・不幸をよく当てていました。

私も彼女の予言をなんとなく信用していました。

 

両親が共働きだったせいもあって、

幼少期の私は祖母に面倒を見てもらっていました。

残念ながら、私は彼女の霊感を相続してはいませんが、

仏壇に向かって毎日信心していた祖母の背中を見て育った私は、

いつの間にか、我々を大きく包んでいる目に見えない世界の存在を

自然に受け入れることができるようになっていました。

 

今でも、仕事では周囲に合わせて

理屈っぽい考え方をするのですが、

そのメンタリティーは子供の頃から変わっていません。

表向きは理詰めで考えつつも、

大切な部分は、目に見えない世界からの

インスピレーションに頼っています。

 

祖母は私にある意味で人生の道しるべを

示してくれていたような気がします。

 

今年は、そんな祖母の十三回忌にあたります。

 

今でも思い出す風景があります。

秋の始めの頃、いくぶん気分が良かった彼女は、

可愛がっていた草花に最後の手入れをしていました。

 

その姿には、ある種の死を悟った者の

さっぱりとした気品がありました。

 

その数日後、彼女はあの世に旅立ちました。

私は葬儀で人目もはばからず大泣きしました。

彼女のことが本当に大好きだったのです。

田舎に帰り、彼女の最晩年の2年間を共に過ごせたのは、

本当に幸せでした。

 

私は、実家の仏壇に手を合わせるとき、

彼女が熱心に唱えていた「法華経」の一節を唱えます。

心配ばかりかけて、たいしたことをしてやれなかった不肖の孫ですが、

せめてもの供養になればと思って。

 

婆ちゃん、本当にありがとう。

クロスドレッサー、自己探求家。 趣味で小説も書いています。 最近は、仏教と現代物理学の関連について研究しています。

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